胚培養士を辞めたい。不妊治療の現場で働く責任の重さとは?

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みなさん、胚培養士という職業をご存知ですか?

あまり世間では知られてはいませんが、胚培養士は卵子と精子を受精させ、患者の胎内に戻すまでを管理する不妊治療では欠かすことができない存在です。
看護師だと、患者と接する機会も多く、会話もすることが多いかと思いますが、胚培養士はどちらかというと裏方の仕事。
しかも、仕事は清潔な空間で行わないといけないため、なかなか表にでることもできません。

そんな胚培養士というお仕事ですが、命の誕生に関わるすばらしい職業である一方、実際には「辞めたい・・・」と考えている方もいるようです。

今回は、そんな胚培養士の現場の声に密着してみました。

胚培養士の一日の仕事内容について


まずは、胚培養士の仕事を理解するために、どんな仕事をしているのかまとめてみました。

今回、取材をさせてもらったのは関東圏内のクリニックで胚培養士として勤務していた経験のある30代前半の女性です。
その女性が勤めていたクリニックの一日の仕事の流れは以下になります。

8:00 出勤
8:15 採卵準備、人工授精受付準備
8:30 人工授精受付開始
8:45~10:00くらいまで 採卵
10:30 媒精(体外受精、顕微授精)
13:00 他の日に採卵した胚(受精卵)の観察
14:00 胚移植予定で来院した患者への説明
15:00 胚移植
16:00 次の日の採卵準備
17:30 掃除
18:00 仕事終了

この流れを3人の胚培養士で回していたそうです。

胚培養士の仕事に携わって感じたこととは


この女性に胚培養士として働いていた時のことをインタビューさせて頂きました。
お話を聞いていくなかで、とても印象的だったことをまとめてみました。

・とてもやりがいのある仕事。なにより患者さんが妊娠された時は本当に嬉しかった。
・胚(受精卵)はどれもきれい。きれいなものを間近で見られる喜びがある。

一方で、こんなお話もありました。

・いつも緊張した中で仕事をしていた。
 胚培養士の仕事は、新しく生まれる命にかかわることなので間違いは絶対に許されない。
 ミスがないように気を抜くことができなかった。

胚培養士の仕事は、卵子と精子を受精させることもあります。

もしこの時点で他の卵子精子と入れ替わってしまい新しい命になってしまったら・・・。
間違いは絶対に起こしてはならないものであるため、ミスを起こさないためチェックは何重にもしていたようです。

受精卵とり違え事件が問題になる


そんな中、受精卵のとり違え事件が発覚します。

以下が問題の事件の内容になります。

<受精卵取り違え>検査技師配置、他業務と兼務で機能せず
2月22日2時34分配信 毎日新聞より

 香川県立中央病院(高松市)であった受精卵取り違え疑惑で、担当医の川田清弥医師(61)の要望で実現した複数の検査技師の配置が、他業務との兼務などで有効に機能していなかったことが分かった。
川田医師は21日、毎日新聞の取材に「受精卵の凍結保存や顕微授精で、作業範囲が広がったため」と要望の理由を説明。しかし1人での作業は解消されず、体制の不備がミスにつながった可能性がある。

 病院によると、要望を受け02年以降、複数の検査技師を配置。現在は5人が1日数時間ずつ採卵や培養液の交換などをし、川田医師の業務を手伝っているという。
取り違えが起きたとされる昨年9月18日も同様の体制だったが、川田医師は1人での作業について「検査技師の勤務上、たまたまそうなった」と説明。
勤務シフトについては「(所属が違うため)私が勤務しなさいという命令はできません。私の能力のなさです」と話した。

 病院によると、検査技師は中央検査部に所属し、他科の血液検査などもする。
勤務シフトは事前に決まるため、当日の配置が実際の作業内容と合わないケースがあったとみられる。

 同病院は香川県内の体外受精治療の中核。患者数は98年以降90~53件で推移し、08年は86件。
産婦人科医は7人いるが、専門性が高いため事実上、川田医師1人に任せていた。病院側は川田医師の単独作業が多いことも認識していたが、93年の開始時から約1000件を扱うなど実績があり、問題視していなかったという。
同病院では、疑惑発覚まで院内マニュアルにミス防止手順がなかったことも判明している。

この香川県の病院での事件には、相当ショックを受けたそうです。

というのも、「絶対に同じミスが起こらないとは言えない」と思ったから。
彼女が働いていた不妊治療クリニックでは、取り違えがないようスタッフが2人で作業し間違えがないように複数の目でチェックをしていたそうです。
なので、取り違えミスが起こったことはないとのこと。

100%のノーミスを信じて作業をしていたけど、もしかしたら複数の目を持ってしても同じような問題が起こってしまったら・・・。

彼女は、責任の重さに当時はかなりの緊張で仕事に臨んでいたようでした。
また、彼女の胚培養士の仲間の中には、緊張で手が震えて作業が出来なくなってしまった人もいたようです・・・。

胚培養士の仕事を辞めた今思うこと


彼女は出産を機に、胚培養士の仕事を辞め、今は専業主婦として子育てに専念しています。
今思う胚培養士の仕事について聞くと

「胚培養士は責任がとても重い仕事。
でも、とてもやりがいのあるすばらしい仕事だと思う。
いつかまた、子育てが一段落したら復帰できたらとても嬉しい」

とのこと。

胚培養士の仕事は、ミスが許されないこともあり、緊張が強いられるもの。
辞めたいと思う人がいる一方で、彼女のようにやりがいを感じている人も大勢います。

不妊治療の現場では、医師や看護師が患者と接する機会が多いため、胚培養士の影は薄いですが、
このような重い責任を背負いながら、影で支えてくれる存在がいるおかげで不妊治療がなりなっているのですね。




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